多くのママパパが抱える子育ての不安に助産師さんが寄り添うBlog

#09
なんで飲んでくれないの

育児相談をやっていて一番多い相談は「ミルクを飲んでくれない!」という声です。母乳やミルクを少しでも多く飲んで大きくなってほしい、という気持ちは親の願いですね。でも思い通りに飲んでくれない、何がいけないの?どうしたらいいの?!というお悩みです。

赤ちゃんとママ 二人とも新1年生

赤ちゃんとママ二人とも新1年生

子どもが小学校の1年生になるときは、何もかもが初めてで不安と期待でいっぱいですね。何をするにも誰かに教わり、付き添ってもらってだんだん慣れていきます。赤ちゃんとママもそうです。まさに1年生なのです。

生まれながらに赤ちゃんにはおっぱいを吸う本能がそなわっていますが、最初からうまくは吸えません。何回も繰り返し練習することで上手になっていきます。だんだん上手になってくると扁平乳頭(乳首がきちんと出ていない状態)でもみごとに吸えるようになります。
お母さんもそうなのです。母親になったからと言って、最初から赤ちゃんを上手に抱っこして、おっぱいを吸える態勢にできるわけがありません。何回も繰り返してちょうどいい抱き方、赤ちゃんが上手に吸ってくれる態勢をカラダで覚えていきます。

赤ちゃんとお母さん、二人で作っていくものです。何回も吸われているうちに母乳の出もよくなってきます。おっぱいを吸われることが刺激となって、ホルモンの分泌がよくなり、また乳腺の開きもよくなって、母乳の出もよくなっていきます。でも、このホルモンは、ストレスに影響されやすく睡眠不足やイライラすることで母乳の分泌を妨げます。この時期はできるだけ休養をとって、ゆっくり過ごしてください。

赤ちゃんには生後1ヶ月くらいまでは母乳を欲しがるときには欲しがるだけあげましょう。
ただ、1回の授乳時間は、15~20分くらいです。

育児の本通りにはいかない 赤ちゃんも同じ人間

育児の本通りにはいかない赤ちゃんも同じ人間

時々感じることがあるのですが、初めてママになって「赤ちゃん」という、自分とは全く別の生き物として、それを育てているような感覚をもっているのではないか、と思ってしまうようなことがあります。何cc飲めばいいの、体重は何グラムになればいいの、何を食べさせたらいいの、まるでカブトムシを育てているみたい、と思ってしまうのです。一生懸命になっているからこその質問だと理解していますが、赤ちゃんもママと同じ人間なのです。

育児の本には、目安として数字が書いてありますが、そのとおりにいくわけがありません。おおよその目安はありますが、その通りにはいかないのです。大人だって食べたいときもあれば、食欲のないときもありますよね。ご飯を何グラム食べる、と測って食べていませんよね。赤ちゃんもそうだと思ってください。右肩上がりに飲む量が増えて、体重もドンドン増えていく、と言うわけにはいきません。疲れたときとか、天候とか、その他いろいろなことが影響するのは、大人と同じ人間だからです。
「昨日は、大勢の人がお祝にきてくれて、抱っこされて、あやされて、今日はちょっと疲れたなー、ゆっくり寝かせてほしい」赤ちゃんがおしゃべりできたら、こんな感じで言うのかもしれませんよ。

1回1回の飲む量を気にするのではなく、1日でのトータルで飲む量を判断してください。

また、母乳を飲ませていると何cc飲んでいるかわからないので、母乳のあとに更にミルクを飲ませて、安心したいママを見うけることがあります。 そして、それが追加した分の「ミルクを飲まない」という相談になることがあります。
「えっ?だって母乳で十分足りているからではないですか?!」とお応えすると不満げになる方もいらっしゃいますね。

何cc飲んだかにこだわるより、その子が今どんな状態なのか、まだミルクを欲しそうにしているのか、満足そうにしているのか、そのあたりをよくみて判断してください。

生後3ヶ月頃までは、赤ちゃんは満腹中枢が発達していないので、お腹がいっぱいになった、というよりは口の周囲の筋肉が乳首を吸って疲れた!と思って乳首を離すのがちょうどお腹が一杯の頃なのです。まさに母乳の機能はうまくできています。ですから哺乳瓶の乳首もミルクがポタポタ落ちる状態のものは出過ぎなのです。穴の大きく開いた哺乳瓶で、口の周りの筋肉をあまり使わないでどんどん流しこむ状態で飲むと驚くほどの量を飲むことになります。うちの児は、「ミルクをよく飲む」と思われるかもしれませんが、それは飲ませすぎです。結果、体重が増えすぎてしまうことになるでしょう。母乳を飲ませすぎていると必ずミルクを飲まない、という時期がきてしまいます。赤ちゃんの身体が受け付けない状態になっているのです。

ミルクを飲まない、というその時・瞬間のことではなく、もう少し長い数日単位のこととして、1ヶ月のこととして、赤ちゃんをよくみて、そして、赤ちゃんは今どんな状態なのかを把握してあげてほしいものです。

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次回は 2024年 3 月 28 日(木)に配信予定
お楽しみに!

助産師 南部洋子先生
お話いただいたのは

助産師 南部 洋子 先生

東京医科歯科大学医学部付属看護学校を卒業・国家資格看護師免許取得、日本赤十字社助産婦学校卒業・国家資格助産師免許取得後、東京医科歯科大学付属病院産婦人科病棟にて助産師として勤務。300人以上の出産に立ち会い赤ちゃんを取り上げる。その後女性のカラダをメインとした相談室「株式会社とらうべ」を設立。女性の味方としてすべての年齢での悩み相談を受ける。女性が自分の身体を自分のものとして理解する事。それが全ての悩みの解決に繋がっていくとの信念を持ち、日々向き合っている。
趣味は、夫と旅行、映画・音楽鑑賞、健康麻雀など。

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